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核廃棄物の再処理|行われる理由、再処理の工程、再処理の問題点、再処理工場からの廃棄物

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原発を運転してできる放射性廃棄物(核廃棄物)の処理については、何も処理をせず核廃棄物をそのまま地中に埋める方式(ワンススルー)と、核廃棄物を分離し、ウランとプルトニウムは再利用し、それ以外のものを地層処分等する再処理(再処理+地層処分)の2つの方式があり、我が国は再処理(再処理+地層処分)を推進している。

再処理とはどのようなものであり、何のために行うのか、どのような問題があるかについて記載した。

再処理とは

再処理とは、原発の使用済み燃料からプルトニウムとウランを回収することをいう。再処理を行う意義としては、
①ウラン資源の節約が出来る。これにより燃料の26%が再利用できる
②高レベル放射性廃棄物の処分量を(約1/4)に減らすことが出来る
③高レベル放射性廃棄物の無毒化に要する時間が(10万年→1万年)に短縮できる
点が挙げられる。

また、再処理の問題点としては、
①低レベル放射性廃棄物が日常的に環境中に放出される、
②再処理をするため、核物質の船舶・車両による輸送が必要となる、
点が挙げられる。

再処理の工程

図1に再処理工程を示す。

全国の原子力発電所で使用済となった燃料は、頑丈な使用済燃料輸送容器(キャスク)に入れて再処理工場に運ばれ、使用済燃料受入れ・貯蔵建屋内の輸送容器管理建屋で一時保管した後、貯蔵プールに移される(受入・貯蔵)。

放射能が弱まった後、約3~4センチの長さに細かくせん断し、燃料部分を硝酸で溶かした(せん断・溶解工程)後、ウラン、プルトニウム、核分裂生成物とに分離する(分離工程)。

さらにウラン溶液とプルトニウム溶液を精製(精製工程)、脱硝(脱硝工程)してウラン酸化物とウラン・プルトニウム混合酸化物の2種類の製品が作られる(製品貯蔵工程)。

精製工程で分離したプルトニウムを脱硝工程でウランと混合するのは、米国との原子力協定によるもので、日本に原子爆弾を作らせないためのものである。

再処理工程で生じる核分裂生成物を含む廃液は強い放射能を帯びているため、高レベル放射性廃棄物と呼ばれ、この廃液はガラス原料と混ぜ合わせて溶融し、ステンレス製容器(キャニスター)に流し込み、冷やして固められる(ガラス固化体)。(日本原燃HP参照)

図1.再処理工程(電気事業連合会HPより)

再処理の問題点

再処理は、再処理を行わず、①原発の廃棄物をそのまま地層処分する方式(ワンス・スルー)に比べると再処理にかかる費用が余計に発生する。②原子力発電所に比べ、はるかに多い量の放射性廃棄物を日常的に放出するという問題がある。この②の問題をさらに詳しく述べれば、

・再処理工場では、放射性物質が何重にも厳重に覆われた原子力発電所と異なり、裸の核物質を広範囲に扱うため、厳重な放射線管理が必要となる。
・再処理に伴って高レベル放射性廃液が出るため、この処分に特別な処置が必要となる。
・日本における最終処分(高レベル放射性廃棄物の地層処分)施設の建設は未定である。
・高レベルの使用済み燃料はガラス固化体にすれば小さくなるが、同時に膨大な量の低レベル放射性廃棄物が発生する。
・廃棄物とはみなされない大気中や海洋中への日常的な放射性物質の垂れ流し(表1、表2)もあり、工場の操業後は、施設全体が放射性廃棄物となる。

再処理工場から放出される放射性物質

表1および表2は、六ケ所村の再処理工場から大気中および海洋中(太平洋)に放出される放射性物質の種類と年間推定放出量(Bq値)を示したものである。このうち国が無害としているトリチウムに関しては、その実効線量を語句の説明欄で試算したが、他のものについては紙面の関係もあり省略した。

表1.気体廃棄物中の放射性物質と放射能量(Wikipedia六ケ所再処理工場HP)

表2.液体廃棄物中の放射性物質と放射能量(Wikipedia六ケ所再処理工場HP)

語句の説明

①高レベル放射性廃棄物
使用済み核燃料からウランとプルトニウムを回収した残りの廃液は、近寄れば数秒で致死レベルになる放射線を出しており、高レベル放射性廃棄物と言う。種々の高レベル放射性物質が混じり合ったものである。

②低レベル放射性廃棄物
原子力発電所で発生する低レベル放射性廃棄物には、建物の換気、洗濯廃液、使用済みのペーパータオルや古い作業衣や手袋など、「気体状のもの」「液体状のもの」「固体状のもの」がある。

③無毒化
天然のウラン鉱石の毒性程度まで放射能が減少すること

④トリチウム
3重水素3H(水素原子が三つ結合したもの)。非常に低いエネルギーのβ線を出して3Heになる。
体内取り込みによる内部被爆が問題になる。10,000Bqを含むガスを吸入した場合の実効線量は1.8×10-8mSvになり、10,000Bqを含む水を経口摂取した場合の実効線量は1.8×10-4mSvになる。(原子力資料情報室の資料より転記)

表1および表2に示した、六ケ所村から一年間で排出される、気体廃棄中のトリチウムと海洋廃棄中のトリチウムを実効線量に換算すれば、吸入摂取分は594Svに、経口摂取分は32万4000Svとなる。大気や海水中への拡散によって希釈されるというものの、気体廃棄物中のトリチウムはともかく、海洋排気中のトリチウムは無視できない値である。

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