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核廃棄物の地層処分|高レベル放射性廃棄物、低レベル放射性廃棄物、地層処分の方法と問題点

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原発を運転して出来る核廃棄物は、再処理工程でウランとプルトニウムを分離した後、高レベル放射性廃棄物と低レベル放射性廃棄物に分け、それぞれが別の処理をされることとなる。ここでは、高レベル放射性廃棄物と低レベル放射性廃棄物の処理の違い、高レベル放射性廃棄物の処分(地層処分)の仕方、地層処分をすすめる上での問題点、世界の地震発生分布における日本の特殊性について述べた。

放射性廃棄物の処理

放射性廃棄物は高レベル放射性廃棄物(人体に危険な高い放射能を出す廃棄物)と低レベル放射性廃棄物(比較的高くない放射能を出す廃棄物)に区分され、それぞれに異なる処分を行っている。

高レベル放射性廃棄物

再処理工場で出る高レベルの放射性廃液は高レベル放射性廃棄物であり、濃縮しガラス素材と混ぜてステンレス製容器に注入・固化した後、30~50年間地上にて冷却保管し、放射能と崩壊熱の減少を待ったのち地層処分される。

低レベル放射性廃棄物

原子力発電の運転や点検などに伴い発生する放射能を帯びた放射性廃棄物は低レベル放射性廃棄物と呼ばれる。これらの廃棄物はセメントで固めるなどしてドラム缶に詰め、低レベル放射性廃棄物埋設センター(青森県六ケ所村)で処分される。

(補足)高レベル廃棄物をガラス固化した後、直ぐに地中処分せず一定期間地上で管理するのは、放射能と発熱が大きく、地層処分した際の周囲環境(地下水の流れや地下水の汚染)への影響を避けるためである。ガラス固化体は、再処理工場が操業開始することにより年間1,000本程度発生する。

地層処分

日本政府が推奨しているガラス固化体地層処分の基本概念は、深さ数百~千mの安定な地質環境に、人工バリアと天然バリアから成る「多重バリアシステム」を構築して、廃棄物からの放射能を何十万年と言う長期にわたって人間の生活環境から安全に隔離するというものである。

図1に、内側から、ガラス固化体(ステンレス製キャニスターに充填)、ガラス固化体を覆う壁厚19cm程度の炭素鋼製容器(オーバーパック)、低透水性のベントナイトを主成分とする厚さ70cm程度の緩衝材からなる人工バリアと、オーバーパックと緩衝材を埋設する安定した岩盤からなる天然バリアによって構成される多重バリアシステムを示す。またそれぞれに求められる機能を表1に示した。

図1.ガラス固化体の地層処分(大和愛司 「何故地層処分するか」より転記)

地下処分場の規模は、ガラス固化体4万本の埋設を前提としており、広さ2km四方程度の水平的広がりに総距離100~300kmもの処分坑道を張りめぐらせる計画である。埋設が終われば、地下空間は完全に埋めもどして閉鎖されるが、閉鎖後300年のモニタリングが計画されている。

表1.多重バリアシステムの要件(大和愛司 「何故地層処分するか」参照)

地層処分における問題点

ガラス固化体は30~50年地上で冷却保管したあとでも、放射線の影響が大きく、ガラス固化体の運搬・埋設作業は無人化が必要である。また、ガラス固化体は、地中に埋設するまでの冷却期間30~50年間を地上にて保管されるが、その期間の管理上の問題として、冷却システム故障時の問題、地震や自然災害時の問題、テロの標的とされる等の問題がある。

高レベル放射性廃棄物には半減期が何万年というものを含むが、実際に使用されているステンレス製キャニスターの製造メーカーは、放射性物質保管期間として100年保証しているにすぎず、キャニスターを封入する金属製のオーバーパックも耐用年数は1000年に過ぎない。

埋設した廃棄体の放射能が人間環境に影響を及ぼすのは、主として、ガラス固化体から溶け出した放射性物質が地下水によって地表まで運ばれることによる。従って、地層処分が成り立つためには、第一に地層処分場が長期にわたって十分に安定であること(地質環境の長期安定性)と、岩盤と地下水の物理的・科学的性質(地質環境の特性)が適切であることが必須である。

再処理の項に記載したように、再処理をした場合でも、放射性廃棄物の無毒化に1万年を要するわけであり、オーバーパックの耐用年数が1000年であることを考慮すると、緩衝材と天然バリアで少なくとも1万年の耐久性が担保されなければならないということになる。

しかし、地下深部の地質環境の特性に関しては、移動する四つのプレートがぶつかり合う世界有数の変動帯であると同時に、多雨帯に位置する日本列島では、破砕度が激しい岩盤の亀裂の状況や、涵養と流出が著しい地下水の複雑な挙動について、わかっていないことの方が圧倒的に多い。

一方、ヨーロッパの地質環境は日本と大きく異なり、地震の発生は少なく、かつ何億年レベルで変化のない岩盤があり、地層処分をする上で遥かに有利である。

地震発生分布

図2および図3は、1975年から1994年の間(20年間)に全地球上で起こったマグニチュード4.0以上の地震をプロットしたものであり、図2は震源の深さが100kmより浅いものを、図3は震源の深さが100km より深いものを示している。

両図から、環太平洋火山帯および東南アジアから地中海に抜ける一帯で地震が頻発している。特に震源の深さが100kmより深い地震は、環太平洋火山帯のうち、日本から東南アジアを経由してニュージーランドに至る地域と、南米チリに集中している。

原発が集中する西ヨーロッパやアメリカ東海岸などで地震の発生が極めて少ないことは一目瞭然である。

図2.マグニチュード4.0以上、震源の深さ100km未満、1975~1994年
理科年表2002 (CD-ROM版)国立天文台(丸善)より

図3.マグニチュード4.0以上、震源の深さ100km以上、1975~1994年
理科年表2002 (CD-ROM版)国立天文台(丸善)より

語句の説明

①高レベル放射性廃棄物
使用済み核燃料からウランとプルトニウムを回収した残りの廃液は、近寄れば数秒で致死レベルになる放射線を出しており、高レベル放射性廃棄物と言う。種々の高レベル放射性物質が混じり合ったものである(シリーズ第一回の表2参照)。

②低レベル放射性廃棄物
原子力発電所で発生する低レベル放射性廃棄物には、建物の換気、洗濯廃液、使用済みのペーパータオルや古い作業衣や手袋など、「気体状のもの」「液体状のもの」「固体状のもの」がある。

③キャニスターの製造メーカー
GNS(独)、エンサ(スペイン)、ホルティック・インターナショナル(米)等がある

④四つのプレート
ユーラシアプレート、北米プレート、フィリピン海プレート、太平洋プレート

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