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機械設計における要検討事項

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はじめに

 機械設計においては、要求仕様または目標仕様実現の基本設計に始まり、詳細設計、図面化までに検討することは多い。以下、それらを簡単に説明する。

基本設計の段階

機構設計と力学的解析

 この段階は機械設計において最も重要である。基本設計がきちんとされている場合、少しの手直しで問題解決したり、改良したりすることが出来るが、基本設計がきちんとされていない機械の場合、手直しで対応できるとしてもごまかしであり、良い機械装置に仕上げることはまず不可能となるからである。何度設計し直しても製品化に至らない場合は、要求仕様に無理がある場合か、基本設計が悪い場合である。

 基本設計で検討するのは、仕様実現のための機構設計であり、機構を検討しながら次の力学的解析を行う
・速さを求められる製品であれば①運動解析、②強度解析がまず必要である。
・速さは求められず可搬重量の大きさが求められる重機などであれば、耐荷重を主に強度解析をすることになる。
・産業用ロボットなど速さと可搬重量の双方が求められるものは ①運動解析、②強度解析の双方が必要である。

関連記事:https://marisuke.com/archives/9034

(補足)
 運動解析においては機械力学の知識が、強度解析においては材料力学の知識が必要であるが、設計部門で必要とされる機械力学や材料力学の知識は機械便覧レベルの知識では不十分であり、それぞれの力学をほぼ完全に理解し、状況に合わせて使いこなせるレベルであることが望ましい。
 例えば、材料力学の基本である梁の曲げやタワミの問題において、軸方向にx軸を、上下方向にy軸を、x-y面に垂直方向にz軸を取ったとする。梁のy-z断面がx座標の関数で与えられた場合の梁の曲げやたわみを求めるには、機械工学便覧に掲載された式が理解できるレベルで問題を解くことは難しい。材料力学の基本がしっかり理解できていてこそ解くことが可能となる。機械力学においても同じで、基本公式から機械装置に合う形の式を導出することが必要な場合が多い。

駆動方式と駆動力伝達方式の決定

 この項は前項との関係もあり、本項の検討において前項を再度見直す必要もあるが、良い基本設計には欠かせない段階である。駆動方式に関してはモーター選定が主である。

 駆動力伝達方式には歯車列(ハーモニックドライブなどの差動歯車含む)、チェーン、タイミングベルトなど様々な方法があるが、歯車列はハーモニックドライブを除き騒音・慣性モーメントの点で高速運動には不向きである。チェーンは高速運動にも対応できるが騒音の点で難がある。高速運動に対応でき騒音がでない点ではタイミングベルトを選定するのが良いと思われる。
(補足)
 自動車のように低騒音・高速回転用の歯車列(トランスミッション)が車の性能や販売数を左右するため、開発に時間がかけられる場合は例外であり、通常の産業機械などでは高精度低騒音の歯車列の開発に時間をかけられぬことが多く、市販の部品を使用するのが普通である。ただし、重機などの大きな力を支える事が必要な機械では歯車伝動が向いている。

詳細設計の段階  

材料の選定(使用環境)

 設計している製品が使用される環境を考えて使用材料に問題がないか検討する。使用環境が特殊な場合の例として、例えば以下の場合がある。
・クリーンルーム内で使用されるため摩耗粉などの粉塵が発生してならない機械装置が要求されているならば、摩擦による摩耗粉が出にくい材料を選定したり、グリースなどの潤滑剤が不要なカーボン樹脂のボールねじを使用したり、屈曲による粉塵が出にくいケーブルを選定したりする。
・薬品製造ラインに使用される機械装置である場合には、扱う薬品と化学変化を生じない材料を選定し、かつ製造物に粉塵が混入することのない機構にする必要がある。
・温度変化の大きい環境で使用される機械装置である場合には、できる限り熱膨張率の小さい材料を選定し、熱変形の影響を受けにくい機構にする必要がある。

使用購入品の選定

 駆動に使用するモーターの選定、駆動伝達部に使用される種々の購入部品、例えばボールねじ、リニアガイド、カップリング、ケーブル等を選定する。

 これらを組合せた装置、例えばX-Yテーブルなどという形で購入する場合は、要求仕様をもとにメーカーと打ち合わせ、実験データを提出してもらい確認の末発注する。

 伝達部の結合に使用されるカップリングには、ベローズカップリング、スプリングカップリングなど様々なものがあるが、何れも寿命があり、交換が必要となるので軸心のオフセット量がある程度大きく、寿命が長く、かつ交換容易なものを選定する。

 可動部同士をつなぐケーブルは屈曲の耐久試験をしているようなものであるので、屈曲性が高く繰り返しの屈曲に対し寿命の長いケーブルを選定する。

固有振動数の確認

 以上でほぼ固まった設計ではあるが、ここで基本構造体の固有振動数を計算し、駆動力によって共振振動が起こったりすることのないことを確認し、共振が起こる可能性がある場合、形状を少し変化させ、共振点をずらしておくことが必要である。 

熱変形と熱変形対策

  機械装置の駆動を続けて熱の発生が熱変形を生ずる恐れがあるとわかった場合、変形が致命的となる部品は、熱膨張率の小さい材料に変更するか、あるいは熱変形を逃がす構造を取り入れる。例えば、長いレールを2点支持する場合、1端は固定指示するが、もう1端はベアリングなどで軸方向以外の変位と角度変化だけ固定し、軸方向の伸びが逃がせるような構造とする。

耐久性と部品寿命

 機械装置で耐久性が問題となるのは、摩擦部分の摩耗と、軸同士をつなぐカップリングである。摩擦部分は面粗さを小さいこと、平面度などの精度が高いこと、潤滑が適正に行われていることが重要であるが。特に面取り部分の反りやバリの存在は部品寿命を大きく縮めることになる。精密機械であれば、これは砥石を使って手作業で取り除くことが望ましい。
 カップリングの寿命は、2つの軸のオフセット量に依存するから、一方の軸心を他方の軸心に合わせて調整できる機構を取り入れる必要がある。

保守点検の容易さ、安全性の確認

 機械装置は設計が良くてもきちんとした点検と保守がされなければ、本来持っている性能を発揮出来ない。製品引き渡し後の保守点検や潤滑剤の補給が容易なこと、安全性が確保されていることを確認し、改善できる点があれば改善する。

図面化の段階

 部品に適正な寸法精度や公差、面粗さや平面度等を図面に反映する。摩擦面においては面取りの返りやバリ等の存在は機械寿命を短くするので取り除くように図面上に指定する。

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