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制御曲線(カム曲線)の無次元表示と変形台形曲線の無次元解析

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制御曲線(カム曲線)の無次元表示

制御曲線無次元化の意味

 制御曲線(カム曲線)の解析と決定は、製品の限界性能を追求したり、与えられた駆動パワーの中で最高の性能を追求する場合には、基本設計の最初に行わねばならぬ作業であるが、1サイクルあたりの時間(速度)やフォロワーの移動距離が変わると、速度、加速度、躍動ともに計算し直さねばならない。実際の設計においては 1サイクルあたりの時間(速度)やフォロワーの移動距離を変更すると性能がどう変わるかなどを何度も検討をして製品の仕様を決定していくため、制御曲線を何度も計算し直すのは大変な作業である。
 この問題を解決するために用いられるのが制御曲線の無次元表示と無次元解析である。以下、独立変数が時間である場合とカムの回転角である場合について制御曲線の無次元表示について記載し、両者の関係についても述べる。さらに、変形台形曲線を例に取り、無次元解析について記述した。

独立変数が時間$t$の場合

 フォロアーの変位$s$が時間$t$の関数であるとした場合、フォロアーの単調増加部分で

$s=s(t)$ ・・・(1)

と定義し、$t=0$で$s=0$から動き始め$t=t_h$で最大変位$h$の達するとする。このとき、無次元時間$T$、無次元変位$S$は、

$T=\dfrac{t}{t_h}$ ・・・(2)

$S=\dfrac{s}{h}$ ・・・(3) 

と表される(図1)。

図1.無次元時間と無次元変位(横軸:時間)

ここで

$\begin{gather}t_h:最大変位に他するまでの時間(sec)\\T:無次元時間\\s:変位(mm)\\h:最大変位(mm)\\S:無次元変位\end{gather}$

このとき無次元変位$S$は次式で表される。

$S=S(T)$     $(0≦T≦ 1、0≦S≦1)$  ・・・(4)

同様に無次元速度$V$、無次元加速度$A$、無次元躍動$J$を次のように定義する。

$V=V(T)=\dfrac{dS}{dT}$ ・・・(5)

$A=A(T)=\dfrac{d^2S}{dT^2}$ ・・・(6)

$J=J(T)=\dfrac{d^3S}{dT^3}$ ・・・(7)

これら無次元速度$V$、無次元加速度$A$、無次元躍動$J$の値と実際の変位$s$、速度$v$、加速度$a$、躍動$j$との関係は、

$s=hS$ ・・・(8)

$v=\dfrac{ds}{dt}=\dfrac{d(hS)}{d(t_hT)}=\dfrac{h}{t_h}\dfrac{dS}{dT}=\dfrac{h}{t_h}V$ ・・・(9)

$a=\dfrac{dv}{dt}=\dfrac{d}{dt}(\dfrac{h}{t_h}V)=\dfrac{d}{d(t_hT)}(\dfrac{h}{t_h}V)=\dfrac{h}{t_h^2}A$ ・・・(10)

同様にして$j$を求めれば、

$j=\dfrac{h}{t_h^3}J$ ・・・(11)

独立変数が回転角$θ$である場合

 図2のように独立変数が回転角である場合を考える(図2)。制御曲線をボールネジでボールネジの軸方向の変位を制御するのでなく、カムとカムフォロワーで制御する場合、横軸に時間を取るのでなく、カム軸の回転角を取る方が設計検討上便利である。この項では、横軸にカムの回転角を取った場合のカム(制御)曲線の無次元表示について記載する。

  独立変数が回転角である場合の前項(独立変数が時間である場合)の式(1)から(11)に相当する式を以下に記述すれば、以下のようになる。ただし、本項の式(13)における$T$は$T=\dfrac{θ}{θ_h}$であり、無次元角度を表し、前項の無次元時間とは異なる。

$s=s(θ)$ ・・・(12)

$T=\dfrac{θ}{θ_h}$ ・・・(13)

$S=\dfrac{s}{h}$ ・・・(14)

$V=\dfrac{dS}{dT}$ ・・・(15)

$A=\dfrac{d^2S}{dT^2}$ ・・・(16)

$J=\dfrac{d^3S}{dT^3}$ ・・・(17)

図2. 無次元角度と無次元変位(横軸:角度)

ここで(15)(16)(17)式の無次元速度、無次元加速度、無次元躍動は前項の(5)(6)(7)式の 無次元速度、無次元加速度、無次元躍動とは異なるので注意すること。

 このとき、カム回転角$θ$に対する速度$v_θ$、加速度$a_θ$、躍動$j_θ$を無次元表示で表すと、

$s=hS$

$v_θ=\dfrac{ds}{dθ}=\dfrac{h}{θ_h}V$ ・・・(18)

$a_θ=\dfrac{d^2s}{dθ^2}=\dfrac{h}{(θ_h)^2}A$ ・・・(19)

$j_θ=\dfrac{d^3s}{dθ^3}=\dfrac{h}{(θ_h)^3}J$ ・・・(20)

時間変位に対する実速度$v$、実加速度$a$、実躍動$j$とカム回転角に対する速度$v_θ$、加速度$a_θ$、躍動$j_θ$の関係を求める.

$k=\dfrac{dt}{dθ}=\dfrac{1}{ω}$($ω$は角速度)とおくと、

$v=\dfrac{ds}{dt}=\dfrac{ds}{dθ}\dfrac{dθ}{dt}=\dfrac{1}{k}\dfrac{ds}{dθ}=\dfrac{1}{k}v_θ$

$a=\dfrac{d^2s}{dt^2}=\dfrac{d}{dt}(\dfrac{ds}{dt})=\dfrac{1}{k}\dfrac{d}{dθ}(\dfrac{1}{k}v_θ)=\dfrac{1}{k^2}a_θ$

$j=\dfrac{d^3s}{dt^3}=\dfrac{d}{dt}(\dfrac{d^2s}{dt^2})=\dfrac{1}{k}\dfrac{d}{dθ}(\dfrac{1}{k^2}a_θ)=\dfrac{1}{k^3}j_θ$

よって、この場合の実速度$v$、実加速度$a$。実躍動$j$を (15)(16)(17)式の無次元速度、無次元加速度、無次元躍動で表すと、

$v=\dfrac{1}{k}\dfrac{h}{θ_h}V$  ・・・(21)

$a=\dfrac{1}{k^2}\dfrac{h}{(θ_h)^2}A$ ・・・(22)

$j=\dfrac{1}{k^3}\dfrac{h}{(θ_h)^3}J$ ・・・(23)

変形台形曲線の無次元表示

 制御曲線表示を無次元化し、加速度曲線に変形台形曲線を採用した場合、その加速度式、速度式、変位式、躍動式がどのように無次元化されるかについて説明する。

加速度式

 図3に変形台形曲線をの無次元表示を示す。横軸の無次元時間全体を$1$とし、$1$を$0-T_a$、$T_a-(0.5-T_a)$、$(0.5-T_a)-(0.5+T_a)$、$(0.5+T_a)-(1-T_a)$、$(1-T_a)-1$の5つの区間に分け、それぞれの区間における無次元加速度を次のように定義する。なお、以下の加速度式において$A_m$は無次元化加速度$A$の最大値を表すものとする。また、$T_a$は$T_a=\dfrac{1}{8}$とすることが多い。

区間Ⅰ:$0≦T≦T_a$

$A=A_msin\dfrac{πT}{2T_a}$ ・・・(24)

区間Ⅱ:$T_a≦T≦0.5-T_a$

$A=A_m$ (一定) ・・・(25)

区間Ⅲ: $0.5-T_a≦T≦0.5+T_a$

$A=A_mcos\dfrac{π(T-(0.5-T_a))}{2T_a}$ ・・・(26)

区間Ⅳ: $0.5+T_a≦T≦1-T_a$

$A=-A_m$ (一定) ・・・ (27)

区間Ⅴ:$1-T_a≦T≦1$

$A=–A_mcos\dfrac{π(T-(1-T_a))}{2T_a}$ ・・・(28)

図3.変形台形曲線の無次元表示

速度式

区間Ⅰ:$0≦T≦T_a$

$V=\dfrac{2T_aA_m}{π}(1-cos\dfrac{πT}{2T_a})$ ・・・(29)

$V_a=\dfrac{2T_aA_m}{π}$ ・・・(30)

ここで(30)式はこの区間の最終端$T=T_a$における$V$の値であり、(29)式で $T=T_a$として求まる値である。

区間Ⅱ:$T_a≦T≦0.5-T_a$

$V=A_m(T+(\dfrac{2}{π}-1)T_a)$ ・・・(31)

$V_b=A_m(0.5-2T_a+\dfrac{2T_a}{π})$ ・・・(32)

ここで(32)式はこの区間の最終端$T=0.5-T_a$における$V$の値であり、(31)式で $T=0.5-T_a$として求まる値である。

区間Ⅲ: $0.5-T_a≦T≦0.5+T_a$

$V=A_m(0.5-2T_a+\dfrac{2T_a}{π}(1+sin\dfrac{π(T-(0.5-T_a))}{2T_a}))$ ・・・(33)

$V_c=A_m(0.5-2T_a+\dfrac{2T_a}{π})$ ・・・(34)

ここで(34)式はこの区間の最終端$T=0.5+T_a$における$V$の値であり、(33)式で $T=0.5+T_a$として求まる値である。$T=0.5$の場合の$V$は、

$V=A_m=(0.5-2T_a+\dfrac{4T_a}{π})$ ・・・(35)

区間Ⅳ: $0.5+T_a≦T≦1-T_a$

$V=A_m(-T+1-T_a+\dfrac{2T_a}{π})$ ・・・(36) 

$V_d=\dfrac{2T_aA_m}{π}$ ・・・(37)

ここで(37)式はこの区間の最終端$T=1-T_a$における$V$の値であり、(36)式で $T=1-T_a$として求まる値である。

区間Ⅴ:$1-T_a≦T≦1$

$V=\dfrac{2T_aA_m}{π}(1-sin\dfrac{π(T-1+T_a)}{2T_a})$ ・・・(38)
$V_e=0$ ・・・(39)

ここで(39)式はこの区間の最終端$T=1$における$V$の値であり、(38)式で $T=1$として求まる値である。

変位式

区間Ⅰ:$0≦T≦T_a$

$S=A_m(\dfrac{2T_a}{π}T-\dfrac{4T_a^2}{π^2}sin\dfrac{πT}{2T_a})$ ・・・(40)

$S_a=A_m(\dfrac{2T_a^2}{π}-\dfrac{4T_a^2}{π^2})$ ・・・(41)

ここで(41)式はこの区間の最終端$T=T_a$における$V$の値であり、(40)式で $T=T_a$として求まる値である。

区間Ⅱ:$T_a≦T≦0.5-T_a$

$S=A_m(\dfrac{T^2}{2}+(\dfrac{2}{π}-1)T_aT+(\dfrac{1}{2}-\dfrac{4}{π^2})T_a^2)$ ・・・(42)

$S_b=A_m(2-\dfrac{2}{π}-\dfrac{4}{π^2})T_a^2+(\dfrac{1}{π}-1)T_a+\dfrac{1}{8})$ ・・・(43)

ここで(43)式はこの区間の最終端$T=0.5-T_a$における$V$の値であり、(42)式で $T=0.5-T_a$として求まる値である。

区間Ⅲ: $0.5-T_a≦T≦0.5+T_a$

$S=A_m((\dfrac{1}{2}-2T_a+\dfrac{2T_a}{π})T-(\dfrac{2T_a}{π})^2cos\dfrac{π(T-0.5+T_a)}{2T_a}+(\dfrac{T_a}{2}-\dfrac{1}{8}))$ ・・・(44)

$S_c=A_m((\dfrac{4}{π^2}+\dfrac{2}{π}-2)T_a^2+\dfrac{T_a}{π}+\dfrac{1}{8})$ ・・・(45)

ここで(45)式はこの区間の最終端$T=0.5+T_a$における$S$の値であり、(44)式で $T=0.5+T_a$として求まる値である。$T=0.5$の場合の$S$は、

$S=A_m(\dfrac{T_a}{π}-\dfrac{T_a}{2}+\dfrac{1}{8})$ ・・・(46)

区間Ⅳ: $0.5+T_a≦T≦1-T_a$

$S=A_m(-\dfrac{T^2}{2}+(1-T_a+\dfrac{2T_a}{π})T+(\dfrac{4}{π^2}-\dfrac{1}{2})T_a^2-\dfrac{1}{4})$ ・・・(47)

$S_d=A_m((\dfrac{4}{π^2}-\dfrac{2}{π})T_a^2+(\dfrac{2}{π}-1)T_a+\dfrac{1}{4})$ ・・・(48)

ここで(48)式はこの区間の最終端$T=1-T_a$における$S$の値であり、(47)式で $T=1-T_a$として求まる値である。

区間Ⅴ:$1-T_a≦T≦1$

$S=A_m(\dfrac{2T_a}{π}T+\dfrac{4T_a^2}{π^2}cos\dfrac{π(T-1+T_a)}{2T_a}+\dfrac{1}{4}-T_a)$ ・・・(49)

$S_e=A_m(\dfrac{2T_a}{π}-T_a+\dfrac{1}{4})$ ・・・(50)

ここで(50)式はこの区間の最終端$T=1$における$S$の値であり、(49)式で $T=1$として求まる値である。

制御曲線の無次元化における定義により、$T=1$のとき$S=1$であるから、(50)式の右辺を$1$とおき、$T_a$の値としてよく用いられる$T_a=\dfrac{1}{8}$とすれば、

$A_m=4.89$ ・・・(51)

が求まる。これより、図3の無次元化した変形台形曲線における加速度の最大値$A_m$は、$T_a=\dfrac{1}{8}$としたとき $A_m=4.89$となる。

躍動式

 最後に無次元化した躍動式も求めておこう。

区間Ⅰ:$0≦T≦T_a$

$J=\dfrac{dA}{dT}=\dfrac{πA_m}{2T_a}cos\dfrac{πT}{2T_a}$ ・・・(52)

区間Ⅱ:$T_a≦T≦0.5-T_a$

$J=0$ ・・・(53)

区間Ⅲ: $0.5-T_a≦T≦0.5+T_a$

$J=-\dfrac{πA_m}{2T_a}sin\dfrac{π(T-0.5+T_a)}{2T_a}$ ・・・(54)

区間Ⅳ: $0.5+T_a≦T≦1-T_a$

$J=0$ ・・・(55)

区間Ⅴ:$1-T_a≦T≦1$

$J=\dfrac{πA_m}{2T_a}sin\dfrac{π(T-1+T_a)}{2T_a}$ ・・・(56)

ここまで読まれた方は(46)式で$T=0.5$かつ$T_a=\dfrac{1}{8}$としたとき、$S=0.5となることを確認されることをお勧めする。

最後に(補足)

 自分自身のことを記載するのは恐縮ではありますが、これから製品開発に携わられる方や、製品の動作が思うようにいかない方の参考に私自身の実体験を以下に少し記載することにします。必要のない方は読み飛ばして下されば結構です。

 本解析方法は、筆者がある製品の開発設計において実際に使用し、開発着手から1年半後に製品化を実現したとき使用したものです。

 入社当時、私の配属された場所ではレーザーや放電加工など加工技術に関し優秀な機械技術者は少なからずいましたが、高速駆動が必要な機械は存在せず、製品自体のきめ細かな動解析が必要な製品は存在しませんでした。それ故、設計部門においても、技術的問題は材料力学的な問題がほとんどで、安全率を高めに取れば強度解析も精度が求められることはほとんどなく、設計者は技術計算を念入りにすることなくドラフター(当時はCADが導入される前の時代)で図面を書き始める人がほとんどでした。設計部門が電気工学を学んだ人が多かったこともその原因の一つであったようです。

 私自身は機械工学が専門ですが、学部時代は解析が好きであり、修士課程は精密工学を学びましたが、入社してから機械技術者として図面化の前に解析がきちんと行われていないことに驚いたものです。入社後3年間は生産技術部門に配属されましたが、異動を希望して開発部門に異動となりました。そして、いきなり高速・高精度の製品開発の担当となったわけです。初めての開発であり、製品仕様が半端じゃないことから、いきなり図面化など出来るはずもなく、取っ掛かりの緒を見つけるため、要求仕様を満たすための動解析に取り掛かりました。上司は図面化に取り掛からず計算ばかりしている私が気になるようで、早く図面化するよう何度か言われたものです。そのような状況で3ヶ月間かかって動解析を完了し、3ヶ月ほどで図面化を完了して試作機の製作が始まりました。さらに3ヶ月ほどで試作機が完成し、その後制御プログラムの若干の修正を加え、開発から1年半後に要求仕様を上回る製品1号機が完成しました。
 途中まで半信半疑で私の仕事を眺めていた上司も、短期間の製品化に満足し、それ以降私を信頼し、難しい仕事を任されるようになりました。その後、様々な製品の技術的問題解決や設計に携わり、多角的に物事を見られるようになったことは一人前の設計者となるため必要なことであり、とても有り難く感じています。
 解析能力と並んで設計者にとって必要なのは、モデル化を正しく行えるということです。解析に移る前に製品を解析しやすいようにモデル化するのですが、モデル化したものが構造的・力学的に製品と等価でなければ解析自体何ら意味のないものになってしまいます。解析の数学的扱いが正しくて結果が出ない場合、モデル化が正しいかどうかを再検討する必要があると思われます。
 以上、経験から学んだ私の見解ですが、少しでも設計に携わられる方のお役に立つことができれば何よりと思っています。

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