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ことばの硬直化は心の硬直化の現れ|「妄想」はヒューマニエンスに相応しくない

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ヒューマニエンス

 ヒューマニエンスというテレビ番組がある。NHKが毎週火曜日夜10時から放映している番組である。番組のMCは、織田裕二氏、NHKアナウンサーの藤井彩子氏であり、様々な分野の専門家の方を迎え、最先端の知識をテーマとして取り上げる番組であり、興味深い番組である。 テーマに興味があるときは録画予約し観ている番組であるが、観ていて気になる点がある。MCの二人が「妄想」ということばをいつも使うことである。「妄想」ということばはもともとあまり良い意味のことばではない。それがNHKの科学的な分野に関する番組で使われるのであるから違和感を感ずるわけである。

「妄想」とはどういう意味か

 「妄想」とは、「妄」ということばに「むやみやたら」、「でたらめ」という意味があることからして、 字義通り解釈すればでたらめな想いということである。「妄想」以外にも「妄」のつく熟語として 「妄言」、「妄語」、「妄執」、「妄信」、「妄動」、「妄念」などがあるが何れも良い意味のことばではない。

 古田東朔監修の旺文社国語辞典によれば、「妄想」の意味として「ありもしないことを心に思い、事実だと信じ込んでしまうことをいう」という説明がされている。 

 また、新村出編集の岩波の広辞苑によれば、「妄想」の意味として、「①みだらな思い、正しくない想念、②根拠のない主観的な信念であって事実の経験や論理によって訂正されることのないもの」が挙げられている。

 何れの解説からも明らかであるが、科学的テーマを扱っている番組中で妄想するのは場違いではなかろうか。

誰もが同じことばを使う昨今の世の中

 「妄想」という本来良からぬ意味のことばが今や至るところで氾濫している。テレビ番組に関して言えば、報道番組やワイドショー、お笑い番組はじめ実に様々な番組内で「妄想」ということばが飛び交っている。飛び交うのが良いことばならば問題ないが、良からぬ意味のことばがふさわしくない場面でも飛び交っているのである。それも、一流大学を出た有名なアナウンサーまでもが当然のように使っているのである。

 同様のことは、「踏まえて」にも当てはまる。テレビ番組を観ていると何でもかんでも踏まえてしまう人ばかりである。そのことばが相応しいかどうかなど気にすることなく、様々な場面で大勢が使っているのである。それらの現象を観ていて感ずるのは、多くの人の使うことばの幅が非常に狭まって来ているということである。日常生活で使用する(出来る)ことばが少ない人が多くなってきているということである。

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ことばは心の現れ

 ことばとは、心で思ったことを外界(周囲や他の人)に伝えるものであり、心の表れとも言えるものである。したがって、心を表現するのに用いることばが少なくなった(ことばが硬直化した)ということは、心が硬直化してきたのではないかとも考えられる。自分の思いどおりに行かなければすぐに他人に危害を加える事件が多くなったのも、あるいは心が硬直化した人が増えているのが関係しているかもわからない。

 日本語はもともと季節の移り変わりなど繊細な自然描写や細やかな心情を表すのに適したことばであり、状況に合わせて相応しい表現ができることばである。

妄想より的確な表現を

 例えば、ヒューマニエンスにおいて、それまで知らなかった新たな発見をもとに考えるときに、「妄想」ということばより適切なことばはいくらでもある。例えば、「思いをめぐらす」、「考えをめぐらす」、「想像する」、「想像を逞しくする」などとも言えるわけである。

 また、時間的にかけ離れたことまで「思いをめぐらす」のであれば「思いを馳せる」ということも出来るわけである。

 NHKのアナウンサーであればことばのプロである。どのようなことばが相応しいかにもっと「心をめぐらせて」もらいたいものである。

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