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多角柱の慣性モーメントを求める

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慣性モーメント

 棒の慣性モーメントを$I$とすると、

$I=\int_S r^2dm$ ・・・(2)

式(2)において、積分記号下部の$S$は積分を全断面積Sについておこなうことを示し、$dm$は断面の微小部分の質量を、$r$は回転中心から微小部分までの距離を表している。
 すなわち、慣性モーメント$I$とは、断面の微小部分の質量$dm$と回転軸から微小部分までの距離$r$の二乗の積を断面積全体について積分した値のことである。

角柱の中心軸回りの慣性モーメント

 図1に示すような三角形の半分($x$軸より上の部分)の$O$点まわりの慣性モーメントを考えてみよう。紙面に垂直方向の厚さは単位長さとする。
 図のような直交座標で考えれば、図の微小部分$dS$の質量は、$ρdxdy$を$y=0$から$y=\dfrac{b}{a}x$まで積分して求められる。微小部分の$O$点からの距離$r$の二乗$r^2$は$x^2+y^2$と表されるので、微小部分の慣性モーメントは$ρdxdy(x^2+y^2) $と表される。ここで$ρ$は角柱の単位体積あたりの質量(密度)を表している。

図1.O点回りの断面二次極モーメント


 考えている三角形の$O$点回りの慣性モーメント$I_o$は、この微小部分の$O$点回りの慣性モーメントを、考えている三角形全体について積分すればよいから、

$I_o=ρ\int_0^a \int_0^Y(x^2+y^2)dydx$ ・・・(1)

ただし、(1)式の$Y$は、$Y=\dfrac{b}{a}x$である。$\int_0^Y(x^2+y^2)dy$を計算すれば、

$\int_0^Y(x^2+y^2)dy=x^2Y+\dfrac{1}{3}Y^3=\dfrac{b}{a}x^3+\dfrac{b^3}{3a^3}x^3=(\dfrac{b}{a}+\dfrac{b^3}{3a^3})x^3$

これを(1)式に代入して$I_o$を求めれば、

$I_o=ρ\int_0^a(\dfrac{b}{a}+\dfrac{b^3}{3a^3})x^3dx=ρ (\dfrac{b}{a}+\dfrac{b^3}{3a^3})\int_0^a x^3dx$ ・・・(2)

(2)式を計算すれば、

$I_o= ρ (\dfrac{b}{a}+\dfrac{b^3}{3a^3}) \dfrac{a^4}{4}=ρ(\dfrac{a^3b}{4}+\dfrac{ab^3}{12})$ ・・・(3)

図1の三角形の$O$点回りの慣性モーメントが求まったので、その結果を応用して角柱の中心軸$O$点回りの慣性モーメントを求めてみよう。

(3)式の慣性モーメントは$x$軸の上部だけの値であるから、図1の三角形の$O$点回りの慣性モーメントはその2倍である。したがって求める三角形の$O$点回りの慣性モーメントは、

$2I_o= ρ(\dfrac{a^3b}{2}+\dfrac{ab^3}{6})$ ・・・(4)

正三角柱

 図1で$θ=\dfrac{π}{3}$のとき、すなわち$\dfrac{b}{a}=\sqrt3$のとき、(4)式で$b=\sqrt3 a$として$I_o$を求め、その値を三倍すれば、各辺の中心軸からの距離が$a$である正三角柱の慣性モーメント$I$が次のように求まる。

$I_t=3ρ(\dfrac{\sqrt3}{2}a^4+\dfrac{\sqrt3}{2}a^4)=3\sqrt3 ρa^4$ ・・・(5)

 ここで正三角形の形状に着目すると、正三角形の底辺の長さは$2\sqrt3 a$、高さは$3a$であるから、正三角形の面積$S$は、$S=3\sqrt3a^2$であることがわかる。正三角形の面積$S$と正三角形の一辺の長さ$A=2\sqrt3a$を用いて(5)式を書けば、正三角形の慣性モーメントは、

$I_t=ρSa^2=\dfrac{ρSA^2}{12}$ ・・・(5)’

正四角柱

 図1で$θ=\dfrac{π}{4}$のとき、すなわち$\dfrac{b}{a}=1$のとき、(4)式で$b=a$として$I_o$を求め、その値を四倍すれば、各辺の中心軸からの距離が$a$である正四角柱の慣性モーメント$I_p$が次のように求まる。

$I_t=4ρ(\dfrac{1}{2}a^4+\dfrac{1}{6}a^4)=\dfrac{8}{3}ρa^4$  ・・・(6)

 ここで正四角形の形状に着目すると、正四角形の一辺の長さは$2a$、高さは$2a$であるから、正三角形の面積$S$は、$S=4a^2$であることがわかる。正四角形の面積$S$と正三角形の一辺の長さ$A=2a$を用いて(6)式を書けば、正四角形の慣性モーメントは、

$I_t=\dfrac{2}{3}ρSa^2=\dfrac{1}{6}ρSA^2$ ・・・(6)’

正六角柱

 図1で$θ=\dfrac{π}{6}$のとき、すなわち$\dfrac{b}{a}=\dfrac{1}{\sqrt3}$のとき、(4)式で$b= \dfrac{1}{\sqrt3}a$として$I_o$を求め、その値を六倍すれば、各辺の中心軸からの距離が$a$である正六角柱の慣性モーメント$I_p$が次のように求まる。

$I_t=6ρ(\dfrac{1}{2\sqrt 3}a^4+\dfrac{1}{6}\dfrac{1}{3\sqrt 3}a^4)=\dfrac{10\sqrt 3}{9}ρa^4$  ・・・(7)

 ここで正六角形の形状に着目すると、正六角形の一辺の長さは$\dfrac{2}{\sqrt3}a$、高さは$\dfrac{4}{\sqrt3}a$である。正六角形の面積$S$は、$S=2\sqrt3a^2$であるから、正六角形の面積$S$と正六角形の一辺の長さ$A=\dfrac{2}{\sqrt3}a$を用いて(7)式を書けば、正六角形の慣性モーメントは、

$I_t=\dfrac{5}{9}ρSa^2=\dfrac{5}{12}ρSA^2$ ・・・(7)’

長方形

 図2で示す辺の長さが$2a$、$2b$の長方形を考える。
原点$O$と$x=a$の直線、及び$y=x$、$y=-x$の直線で囲まれる三角形の原点$O$回りの慣性モーメント$I_o1$は(4)式で表されるから、

$I_o1= ρ(\dfrac{a^3b}{2}+\dfrac{ab^3}{6}) $ ・・・(8)

図2.長方形の慣性モーメント

また、原点$O$と$y=b$の直線、及び$y=x$、$y=-x$の直線で囲まれる三角形の原点$O$回りの慣性モーメント$I_o2$は、(8)式の$a$と$b$を入れ替えればよいから、

$I_o2= ρ(\dfrac{b^3a}{2}+\dfrac{ba^3}{6}) $  ・・・(9)

(8)式(9)式を加えて2倍すれば図2の長方形の慣性モーメント$I_r$が求まる。

$I_r=\dfrac{4}{3}ρab(a^2+b^2)$ ・・・(10)

ここで 図2で示す長方形は辺の長さが$2a$、$2b$であるから、面積$S$は$S=4ab$ で表される。この$S$を用いて(10)式を書き換えれば、

$I_r=\dfrac{1}{3}ρS(a^2+b^2)$ ・・・(10)’

さらに$2a=A$、$2b=B$とすれば、長方形の辺の長さ$A$、$B$を用い、

$I_r=\dfrac{1}{12}ρS(A^2+B^2)$ ・・・(10)”

(10)’式で$B=A$とおけば、1辺の長さ$A$の正方形の慣性モーメント$I_r’$が

$I_r’=\dfrac{1}{6}ρSA^2$ ・・・(11)

と求まる。これは(6)’と同じとなる。

中心軸からずれた軸回りの慣性モーメント

 以上、様々な角柱の中心軸回りの慣性モーメントを求めたが、実際の回転中心$P$が角柱の中心軸$O$と異なる場合がある。実際の回転中心$P$と角柱の中心軸$O$との距離を$R$、角柱の中心軸回りの慣性モーメントを$I_o$、単位厚さの角柱の質量を$M$とするとき、$P$点回りの慣性モーメント$I_p$は次の式で求められる。(12)は平行軸の定理と呼ばれるものである。

$I_p=I_o+MR^2$ ・・・(12)

ただし、(12)式が成り立つのは、$P$点回りの回転周期(角柱の公転運動の回転周期)と$O$点回りの回転周期(角柱の自転運動の回転周期)が同じ場合に限られることに注意が必要である。

備考

 以上の議論において、角柱の長さは単位長さとして慣性モーメントを求めているが、実際の場合、単位長さというのはなく、ある長さを有するものである。検討対象の角柱の長さが$L$であるという実際の場合には、上で求めた単位長さのあたりの慣性モーメント$I_t$に長さ$L$を掛けて、実際の部材の慣性モーメント$I_a$を求めればよい。

$I_a=I_t×L$ ・・・(13)

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