日常生活の中で遺言について考えることはあまりありませんが、いざという時あったほうがよいのが遺言です。しかし、多くの人にとって、どのようにして作成するのか、どのような種類がありそれぞれどのような特徴があるかなど、切羽つまらないと知る機会がないのが実情です。以下に、遺言について、私自身が自らが作成に至った事情、お金がさほどかからず安心な遺言の作成方法、他の遺言との比較について説明します。
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突然の入院と遺言の必要性
11年前、突然大病で入院することになりました。ベッドの上でもう退院できないと思ったものの、幸運にも7ヶ月後に退院することができました。しかし、車椅子が要るような状態に加え、いつ再発するかわからない状態での退院でした。
病院のベッドの上で、もう退院出来ないだろうと思ったとき、気になるのは後に残る者たちのことでした。それ故、退院したとき直ぐにしておかなければいけないと思ったのは、書けるうちに遺言を書いておこうということでした。
お金がかからず安心な遺言
遺言について調べたところ、公証人役場に行き公正証書で遺言を作るのが、お金もさほどかからない上、作成上の不備も生じにくく、偽造・変造の恐れがないことから裁判所の検認が不要であることがわかりました。
公証人役場に電話を入れ、必要な書類を持参して伺い、作成してもらいたい遺言の内容を説明し、必要経費を確認して公証人役場を後にしました。
しばらくして、公証人役場から遺言書が出来たとの知らせを受け、妻とともに役場に伺いました。立会人2人は役場に依頼してあり、立会人2人の立会のもと、公証人が作成した遺言書の内容を妻とともに確認し、遺言の作成を完了することが出来ました。
公正証書遺言の利点
公正証書遺言は、原本は公証人役場が保管し、原本と同じ正本が遺言者に手渡されます。それ故、万が一、紛失したり盗難にあったりしても、再発行ができるという利点があります。また、遺言者が死亡して、遺産相続者が死亡した遺言者の預金を引き出したいとき、遺言者の預金通帳と公正証書遺言書の正本を銀行の窓口に持っていけば、死亡した遺言者の預金を引き下ろすことができるといったような利点があります。
その後、2度の再発はあったものの、現在こうして無事に生活しており、現時点で遺言書は活躍していないが、遺言書を作成したことで、その後の治療も安心の中で受けることが出来、正しい判断と行動が出来たことをありがたく懐かしく思い出すこの頃です。
(補足1) 遺言書の記載において、細かな財産については、個々に分類して書く必要はなく、誰々名義のその他のすべての物というような記載ができます。
(補足2) 遺言書の内容を変更したいときは、新たな内容で遺言書を作成しなおせば、後に作成した方が遺言書としての効力を持ちます。
他の遺言書との比較
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
長 所 | ① 自分一人で容易に作成できる
② 費用がかからない |
① 遺言の存在と内容が明確となる② 方式の不備が生じにくい
③ 安価な費用で作成できる |
遺言の内容を秘密にできる |
短 所 | ① 遺言の要件が欠けることがある [要件} ・全文、日付、氏名の自署(ワープロはダメ) ・押印(拇印もOK) ② 遺言書の偽造や滅失の恐れがある |
公証人に遺言の内容を知られる。ただし、守秘義務があるので心配はない。 | ① 手続きが複雑
② 遺言の要件が欠けることがある |
公証人の関与 | 関与しない | 関与する | 関与する |
証人の要否 | 不 要 | 必 要 | 必 要 |
検認の要否 | 必 要 | 不 要 | 必 要 |
公正証書遺言の作成費用
①遺言書作成費
財産の価格 | 手数料 |
100万円まで | 5000円 |
200万円まで | 7000円 |
500万円まで | 11000円 |
1000万円まで | 17000円 |
3000万円まで | 23000円 |
5000万円まで | 29000円 |
1億円まで | 43000円 |
上記以外に遺言加算として、財産が1億円までは11000円が加算される。
②立会人依頼費
公証人役場に依頼した場合 1人につき 5000~15000円程度
公正証書遺言の作成に必要な書類
- 遺言者本人の本人確認資料
- 遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本
- 財産の中に不動産がある場合は、登記簿謄本と固定資産評価証明書
- 遺言者の方で証人2人を用意する場合は、証人の氏名、住所、生年月日、職業のメモ
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