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緑の黒髪(みどりのくろかみ)の「緑」の意味は何か?表現は何処から来ているのか?

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 若い女性の美しい黒髪を表現する「緑の黒髪(みどりのくろかみ)」というとても響きの良いことばがある。

「夜明け前」や「破壊」などの小説や「千曲川旅情の歌」で有名な、詩人で小説家の島崎藤村が作詞した「惜別の歌」の第三番の歌詞の最後の一節に、「君が緑の黒髪も、またいつか見んこの別れ」とある「緑の黒髪」である。

島崎藤村

女性の 黒くつやのある美しい髪

「緑の黒髪」のことばの意味をGooの国語辞典で見れば「黒くつやのある女性の美しい髪」とあり、三省堂の大辞林第三版には「みどりの くろかみ 」の意味として「女性の髪をほめていう語。つやつやとした美しい黒髪」とある。子供の頃、私の母が「カラスの濡れ羽色のような艶のある黒髪のこと」だと言っていた記憶もある。

 しかし、「緑の黒髪」の意味がそのような意味であったとして、どうしてそのような言い方をするようになったかについてまでは、上記の説明だけでは不明である。

 この辺りの説明がないかインターネットで調べてみた。それらを基に、「緑の黒髪」について上記の説明の補足となるものについて以下に紹介した。

新生児のように無垢の美しさの表現

 黒なのに緑と表現するのは、「みどり児」(みどりご、生まれたばかりの新生児の表現です)からきていると言われており、その新生児のように無垢な美しさの表現となっています。

https://meaning-book.com/blog/20190705162704.html

という記事があった。

若葉などが芽吹く様子 から来ており 若々しい、艶やか、という意味

「緑」とは単に色の緑のことではなく、新緑、若葉などが若若しく芽吹く様子のこと、を指しています。「みどり」の語源は「芽出る」だとも言われています。
したがって、「緑の」という言葉が古来は若々しい、艶やか、という意味で用いられていた。

http://ikumo-dictionary.com/?p=2521

という説明をしている記事もあった。

武庫川女子大教授佐竹秀雄氏のコラムから

 ミドリとは、そもそも色を意味する言葉ではなく、新芽や若い枝そのものを指したそうです。ミドリとは、新しく生まれた、みずみずしいものを意味したものです。だから、新生児は「みどり児」、美しく艶やかな黒髪も「みどりの黒髪」と形容するのだそうです。

 同様のことは、『語源を知れば日本語がわかる』柚木利博(双葉社)にも書いてあるようです。

http://www2u.biglobe.ne.jp/~longhair/talklog/talk2005/0505/050521.html

中国における同様の表現

  日本のことばには中国から伝わっている言葉が多いことは周知のことであり、ここで少しばかり、時間的・地域的に視野を広げてみることとする。

 例えば、「四面楚歌」、「背水の陣」、「呉越同舟」などは、中国の歴史の中で生まれたことばであるが、現在の日本においても中国から伝わった多くのことばが日常的に使われている。

 このことから、「緑の黒髪」ということばも中国伝来ではないかと、「緑髪、漢詩」で調べてみた。そうしたところ、

成都城中秋夜長く、燈籠の蝋紙空堂を明らす。

高梧月白くして飛鵲繞り、衰草露濕りて寒螿啼く。

堂上の書生読書を罷め、眠らんと欲するも未だ眠らず偏えに断腸す。

起き行きて百匝幾か歎息し、一夕綠髮秋霜と成る。

の漢詩の最後の部分、「一夕綠髮秋霜と成る」、意味は「一夜でみずみずしい黒髪が白くなる」という表現がある。

緑は秋霜に対になる語、「(春の新芽のように)若くみずみずしい」という意味のようです。日本では「みずみずしい黒髪」を表現するのに、「緑髪」を訓読し「みどりの黒髪」と呼ぶようになったそうです。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212230452

という漢詩を紹介した記事があった。

 また、「漢詩を楽しもう」というブログ

https://blog.goo.ne.jp/tiandaoxy/d/20160317

の中には、

南宋から元にかけての政治家・文人である趙孟頫の詩

(題名:金陵雨花台遂至故人劉叔亮墓)の原文、読み、意訳が次のように紹介されていた。

漢詩原文

雨花台上看晴空

万里風煙入望中

人物車書南北混

山川襟帯古今同

昆虫未蟄霜先隕

鳳鳥不鳴江自東

緑髪劉伶縁酔死

往尋荒塚酬西風

読み

雨花台上晴空を看る

万里の風煙望中に入る

人物も車書も南北混じ

山川の襟帯古今同じ

昆虫未だ蟄らずして霜先ず隕ち

鳳鳥鳴かずして江自から東す

緑髪の劉伶酔に縁って死す

往いて荒塚を尋ね西風に酬ゆ

意訳

雨花台に上って晴れた空を眺めると

万里のかなた風も霞も一望できる

天下統一により人も物も車も文字も南北入り混じるが

山川の風景はいまも昔と変わらない

虫が籠らない内にはやく霜がおり

鳳凰は鳴く事なく長江は東に流れるだけ

まだ黒髪の劉伶は酒を飲み過ぎて死んだ

荒れた墓に詣でて秋風のなか酒をたむける

 この漢詩から、南宋時代の中国で「緑髪」ということばが使われていたことがわかる。古来日本では、漢文や漢詩は天皇や宮中・公家はもちろん、武家社会でも男性の教養として位置づけられていたことを考えれば、「緑の黒髪」という表現も中国から伝わったものと考えるのが自然のようである。

 最後に日本の詩人で小説家、島崎藤村作詞の「惜別の歌」の歌詞と、YouTubeにある小林旭の歌(音声)のURLを掲載した。

「惜別(せきべつ)の歌」の歌詞

島崎藤村作詞・藤江英輔作曲

遠き別れにたえかねて
この高殿(たかどの)に登るかな
悲しむなかれ我が友よ
旅の衣(ころも)をととのえよ

別れといえば昔より
この人の世の常なるを
流るる水を眺(なが)むれば
夢はずかしき涙かな

君がさやけき目のいろも
君くれないのくちびるも
君がみどりの黒髪も
またいつか見んこの別れ

小林旭の歌の「惜別の歌」

https://www.youtube.com/watch?v=Cw0Gpv_kgWY

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