ウイスキー愛飲者からみた、50年前から今日に至る、国内ウイスキ-事情の変遷

サントリー・オールドとの出会い

 今から50年ほど前、知人の「ウイスキーを飲むならオールド(だるまの愛称で呼ばれていたサントリー・オールドのこと)くらい飲まないと」ということばを聞いて、酒屋さんでオールドを購入した。当時、ウイスキーに限らず、お酒は税法上の区分がされていて、サントリーのウイスキーではオールドの一つ格下の角瓶から上が特級酒であった。

 サントリーのウイスキーでは、その下のランクにレッドやトリスなどといったものがあったが、スキーやたまの旅行くらいしかお金を使わない私にとって、当時2,000円ほどのオールドは別に贅沢とも思わず、飲みやすいので数年の間サントリーのオールドを飲み続けていた。

サントリー・オールド

ある先生との出会い

 サントリー・オールドに出会う数年前、高校の歴史の授業で、先生が「恐るべき食品」という本の話をして下さった。

 その先生は、多方面に関し博識の持ち主で、講義に関しては「教科書に書いてあることで読めばわかることはあんたらが自分で読めばよい」と言って、教科書に書かれていない世界史の裏話や社会の裏事情などを講義のたびごとに話して下さった。小柄であったが元気のよい明るい先生で、授業は面白く生徒にとても人気のある先生であった。

 その先生が、前述の「恐るべき食品」という本に書かれている、健康に良くない物が多くの食品に添加されていることや、表示内容と中身が異なる物が多く出回っていることなどについて話して下さった。

食品の問題を取り扱った本を書店で購入

 そのような先生の影響を受けていたせいか、若い頃から飲食物に対して興味を持つようになっていた。

 大学に入学し、オールドを飲むようになって数年後、家の近くの書店の棚に、飲食物の添加物などを扱った本(何十年も前のことで本のタイトルは覚えていない)を見つけ購入し、興味津津で読み始めた。その本には、それまで知らなかった多くのことが書かれていた。

 かまぼこやちくわなどの練り物に使われているリン酸の問題、食品の赤や青の色付けに使われている赤色1号・2号や青色1号・2号などの発がん性の着色料の話、多くの食品に使われている防腐剤の問題など、食品に関する問題ばかりでなく、私の好きなウイスキーに関することも書かれていた。

 具体的な商品名を出して書かれていた中に、サントリーの「オールド」とニッカの「ゴールド・アンド・ゴールド」(G&G)、サントリーの「トリス」ウイスキーと「赤玉ポートワイン」があった。

サントリー・オールドに関して書かれていた概要

 あれだけの出荷量(年間1億本ほど)を自社のウイスキーだけでまかなえるはずはなく、外国のウイスキーメーカーからウイスキーを樽買いしたものを使っている可能性が高いこと

 スコッチウイスキーはブレンドするウイスキーは最低でも3年間樽熟成をしたものでないと、スコッチウイスキーとして出荷できない(スコッチ法による規制)が、日本のウイスキーは大手メーカーが反対するため、酒税法にそのような規制がなく、樽熟成していないアルコールを加えてもウイスキーとして販売できること

 同じクラスのサントリーの「オールド」とニッカの「G&G」を別々にグラスに注ぎ、一晩置いておくと「G&G」は香りが抜けないが「オールド」は香りが抜けること、

ニッカ・G&G

「オールド」 の成分構成(1980年代当時の資料から引用)

モルト原酒 27.6%、 グレン・ウィスキー 45.1%、汲水 26.1%、甘味果実酒 0.8%、リキュール 0.4%、カラメル 0.6%

トリスはウイスキーではなく、赤玉ポートワインはワインではない

 トリスに関しては、樽熟成などまったくしていない焼酎にカラメルで色を付け、甘味料などで香りや味付けをしたものであり、ウイスキーといえる代物ではないこと、

 赤玉ポートワインに関しては、一割程度のワインにアルコール、水、砂糖、着色料、香料を混ぜて作り上げたものであること。
 また、「ポートワイン」とは、ポルトガルのオポルト港から出荷するワインに限って呼称することを許されるものであり、サントリーが自社ブランドに使用すること自体、商法上の問題があることなどが書かれていた。

本物のポートワイン

 そのようなことがあってから、購入するウイスキーがサントリーのゴールドからニッカのG&Gや廉価な(当時オールドより高価であった)スコッチ・ウイスキーに変わっていった。

当時のスコッチウイスキーの値段

 当時は洋酒の関税が高く、オールドやG&Gが2,000円くらいであったのに比べ、ジョニ赤(ジョニーウォーカー赤ラベル)、ホワイトホース、カティーサークなど、廉価なスコットウイスキーでも3,500円くらいするものであった。

 ジョニ黒(ジョニーウォーカー黒ラベル)、シーバス・リーガル、オールド・パー、ジャック・ダニエル黒ラベルなどになると7,500円~10,000円と高価であり、海外旅行で購入でもしてこない限り飲むことの出来ない高級ウイスキーであった。

 バランタインの30年ものなどは、価格100,000円と、一生飲めないであろうと思われた雲の上の存在であった。

ジャック・ダニエル ブラック 700ml

ジャック・ダニエル黒ラベル

本に記載されていることが立証される

 上記した本を読んで後のこと、自らの失敗と社会の動きの中で本に書いてあったことが現実に形となって現れた。

 一つは自らの体験であるが、花見の季節のある日、桜見物に学生仲間10人ほどで夜の鶴舞公園に行くことになった。公園についてから場所を取り、皆でカンパして仲間の一人がウイスキーを買いに行くことになった。しかし、学生であるゆえ資金が潤沢にあるわけでなく、買ってきたのは「トリス」であった。

 それまでサントリーのオールドかニッカのG&Gしか飲んだことがなく、それらのウイスキーであればどれくらい自分が飲めるかわかっていた。初めてのトリスである。味はといえば、角(かど)があって舌に刺々しく感じ、お世辞にも美味しくはない。そして大勢で飲むためそれほど量を飲んだわけでもなく、いつも飲む量の半分も飲まなかったくらいであろうか・・・

 それにも関わらず、ぐでんぐでんに酔ってしまい、タクシーに乗ってなんとか家に帰ったものの、タクシーに乗ってから家に着くまでの間まったく意識が無いといった酩酊ぶりであった。

 翌日も二日酔いとなり、その日はウイスキーの瓶を見るのも嫌であった。酒は良い物を少量たしなむのが良いと悟った第一回目の経験である。

 もう一つは赤玉ポートワインである。ポルトガル政府から商標表示違反のクレームがつき、赤玉スイートワインと名称が変更されたことである。

赤玉スイートワイン

洋酒を取り巻く国内事情の変化とジャパニーズ・ウイスキーの海外での受賞

 今ではワインも含め全ての洋酒の関税が撤廃されたため、本物のポートワインも3,500円くらいで購入できる。本物のポートワイン(このような表現をしなければならないことは残念であるが)は甘みに嫌味がなく、食後のデザートワインとして薦められる一品である。

 また、10年ほど前から、サントリーの「山崎」やニッカの「竹鶴」など日本のウイスキーが国際的な品評会で受賞することが多くなり、海外での評価も高まっている。

 さらにNHKの朝ドラ「マッサン」の放送の影響もあり、ウイスキーの販売量が急増したため、各社モルト原酒が減少し、年代表記のシングルモルトウイスキーの販売がされなくなった。

 このようにジャパニーズ・ウイスキーに国内外からの視線が注がれるようになった現在では、市販の廉価なウイスキーにおいても、過去のようにいい加減な作りはされていないであろうと思われる。これは、サントリーオールドの品質が過去のものより良くなったとの声を聞くことからも推測される。

望まれる酒税法の改正

 しかし、未だ日本の酒税法が、他国のウイスキーに関する法律、スコッチ法や連邦アルコール管理法に比べ、非常に規制の甘いレベルに留まっている(9割までがウイスキー以外のものをブレンドしてもウイスキーと表示して販売できることなど)ことは残念なことである。

 ウイスキー自体が国際的な品評会で受賞するようになった今、酒税法も国際的に肩を並べられるよう、国もメーカーも力を合わせて取り組んでもらいたいものである。

各国におけるウイスキー規制の違い

生産地 スコットランド 米国 日本
規制法 スコッチ法 連邦アルコール管理法 酒税法
原材料 穀類のみ使用可 とうもろこしを51%以上使用のこと 9割まで 穀類以外も使用可能
最低熟成年数 3年 2年 定めなし

ウイスキーの取り扱いの変遷

昭和46年 ウイスキーの貿易自由化 大型スーパーに全酒類小売免許交付
昭和47年 ウイスキーなどの関税引下げ
平成元年 酒税法改正。ウイスキー級別廃止
平成14年 ウイスキー、ブランデー、スピリッツ、リキュールなどの関税撤廃

廉価なお薦め輸入ウイスキー

1,000円~2,000円

・ジョニ赤(スコッチ・ブレンディッド・ウイスキー)

・ホワイトホース(スコッチ・ブレンディッド・ウイスキー)

・カティーサーク(スコッチ・ブレンディッド・ウイスキー)

・バランタイン・ファイネスト(スコッチ・ブレンディッド・ウイスキー)

・カナディアン・クラブ(カナディアン・ウイスキー)

カナディアン・クラブ

お薦め輸入ウイスキー

 国内ウイスキーメーカーがモルト原酒を確保するため、国産シングルモルト・ウイスキーの年数表記ものの販売を中止したため、インターネット上で販売されている国内シングルモルト・ウイスキーの価格が異常に高騰している。いくら価格が需要と供給のバランスから決まるといっても、20年物のシングルモルトが20万円、30万円というのは異常である。

 日本よりも法規制の厳しい本場スコットランドでも、シングルモルトの20年物で 20万円、30万円 するという話は聞いたことがない。

 それほどのお金を出すのであれば、本場スコッチウイスキーで良いものはいくらでもある。また、多くの日本人が誤解しているが、シングルモルト・ウイスキーが必ずしもブレンディッド・ウイスキーよりも良いとか美味しいというわけではない。ウイスキーの良し悪しは、飲む人によって異なるものであり、万人向けの最上ウイスキーは無いと思われる。

 なかなか入荷しない国産シングルモルトウイスキーを購入しようとして待ったり、何十万も出してインターネット上で購入するのも良いが、本場のスコッチ・ウイスキーの中に好みのウィスキーがあるかもしれない。

 スコッチ・ウイスキーの風味は、ウイスキー工場の立地(海岸近くか草原か等)やモルトの乾燥の仕方などの違いで、それぞれのメーカ特有の味や香りがあり、違ったウイスキーを飲み比べてみるのも楽しいものである。

2,000円~3,000円

・ジョニ黒12年(スコッチ・ブレンディッド・ウイスキー)

・シーバス・リーガル12年(スコッチ・ブレンディッド・ウイスキー)

シーバス・リーガル12年

・バランタイン12年(スコッチ・ブレンディッド・ウイスキー)

・ジャック・ダニエル黒(米テネシー・ウイスキー)

3,000円~4,000円

ここらの価格帯のウイスキーはどれもとても美味しいものです。

・オールド・パー(スコッチ・ブレンディッド・ウイスキー)

・グレンリベット(スコッチ・シングルモルト・ウイスキー)

グレンリベット12年

・グレン・フィディック(スコッチ・シングルモルト・ウイスキー)

数万円以上

 以下の2つは最上級スコッチウイスキーの代表格です。どちらも購入して飲みましたが、個人的な感想ですが、ジャパニーズウイスキーのシングルモルト20年物に劣らないと思います。ただ、「余市」と「白州」のシングル・カスク20年(シングル・モルト20年ではありません)には及びませんでした。

・グレンリベット25年(シングルモルト・ウィスキー)

グレンリベット25年画像 に対する画像結果
グレンリベット25年 3,8000円くらい

・バランタイン30年(ブレンディッド・ウィスキー)

バランタイン30年画像 に対する画像結果
バランタイン30年 30,000円くらい

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