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読書百遍意自ずから通ず|堀景山の「不盡言」の原文を何度も読み意味が分かるように

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「読書百遍意自ずから通ず 」の意味

 首題のことば「読書百遍意自ずから通ず(どくしょひゃっぺんいおのずからつうず)」は昔からよく言われている言葉である。意味は、難しい書物や文章であっても、何度も何度も読み返せば意味がわかってくるということである。

 この言葉自体は高校生の時すでに知っていたが、その当時は、難しい書物といっても教科書に毛の生えた程度のものしか読んだことがなく、何度も読まなくても(数回も読めば)内容を理解できるものしか知らなかった。

難しい書物との出会い

 大学に入学し、二通りの難解な書物に出くわした。その一つは哲学書である。私達が学生だった頃は、マルクス哲学に対抗するものとして実存哲学なるものが脚光を浴びていた時代である。哲学の教授から、西田哲学や、ハイデッガー、ヤスパース、サルトルなどの話を聴き、書店でそれらの本を購入して読んだものである。

 哲学の本はとにかく難しい。何度も読み返して少しは理解したつもりになったように思っていても結局の所よくわからず、現在その要点を覚えていないことからして、あまり役に立っていなかったという気がしている。唯一覚えているのは、ヤスパースが「地球が回る(自転する)音が聞こえる」と言ったということを哲学の教授から聴き、人間もある状態(レベル)に達するとそのようなことが可能になるんだと思ったことぐらいである。これはこれで、素晴らしいことを教わったとは思っているが・・・

夏休みの課題

 もう一つの出会いは文学の講義である。文学の教授は古風な感じの人で、いつも風呂敷包みに和書(和綴じの書物)を入れて授業に臨まれた。教壇に立ち、風呂敷包みを開け、本を取り出して授業を始められた。文学の講義自体は特に難しく思ったこともなく、夏休みを迎えることになった。

 その文学の夏休みの課題が、堀景山(ほりけいざん)の「不盡言(ふじんげん)」(原文)を読んで要点をまとめよといったものであった。

 現在その本は我が家に残っておらず、遠い昔の記憶をたどれば、B5版の和紙の表紙で文章自体は10頁前後であったと思う。文章は江戸中期の文体で書かれており、難しい(現在はさほどに思わないが、高校卒業したばかりの当時の感想)漢字が随所に散りばめられている。

何度も読み返す

 課題の本は原文のみで解説は一切なく、解説書が出版されているようなものでもない。

 仕方なく、とにかく読んでみようと読み始めた。文章が短いため、読み返すことがそれほど苦痛に感じなかったことは幸いであった。

 ところが、取っ掛かりもなく、難しいと感じていた文章の内容が、読み返しているうちに次第に分かってくるではないか。そのうち、読むのが面白くなり、さらに読み返して、要点をまとめ提出することが出来た。昔から言われている「読書百遍意自ずから通ず」を自ら体験することが出来たわけである。

何度も読み返すことの成果

 今、 「不盡言(ふじんげん )」の内容は覚えていないが、このときの体験から文章に接するのが好きになり、難しい文章にもアレルギーを起こさないようになった。文学の教授に心から感謝している次第である。

 大学を卒業して何十年が経過する中で、おそらく引っ越しのときに無くしたのであろうが、もう一度購入して読み返したく思う今日この頃である。

本記事で記載した歴史的人物

 以下に、本記事で記載した歴史的人物について、他の記事から転記して紹介した。

堀景山(1688~1757) ( コトバンクから転記 )
 江戸時代中期の朱子学者。名は正超,通称は禎助,字は彦昭,君燕。医師堀玄達の子。父に朱子学,医学を学ぶ。広島藩に出仕。子弟の教育に努め,門人に本居宣長らが輩出した。著書に『 不盡言 』がある。

西田哲学(京都大学大学院文学研究科のHPから転記)
 西田 幾多郎(にしだ きたろう、1870 – 1945年)(日本を代表する哲学者、京都大学名誉教授。京都学派の創始者) は 東洋的思想の地盤の上で西洋哲学を摂取し、「西田哲学」と呼ばれる独自の哲学を築き上げた。その哲学は、近代日本における最初の独創的な哲学と評される。

ハイデッガー(1889~1976)( コトバンクから転記 )
 ドイツの哲学者。 キルケゴール、ディルタイの解釈学の影響のもとに、フッサールの現象学を発展させた。哲学の対象である存在は、実存を通してのみ理解可能であるとする、基礎的存在論としての実存哲学を形成した。その後、1930年代以後の思索は、存在そのものの解明に向かった。著書に「存在と時間」「形而上学とは何か」などがある。

ヤスパース(1883~1969) ( コトバンクから転記 )
 ドイツの哲学者。実存哲学の創唱者。ハイデルベルク,ミュンヘンの各大学で法学を,ベルリン,ゲッティンゲン,ハイデルベルクの各大学で医学を学んだ。

  1913年ハイデルベルク大学心理学講師,16年同大学心理学員外教授,21年同大学哲学教授。 37年ナチスにより講壇を追われ,48~61年バーゼル大学教授。心理学,精神病理学の研究から出発し,13年『精神病理学総論』 Allgemeine Psychopathologieを著わしたが,19年『世界観の心理学』 Psychologie der Weltanschauungenで哲学に転向した。

 哲学では,キルケゴールとニーチェの影響を受け,32年『現代の精神的状況』 Die geistige Situation der Zeitで,「大衆化」「技術化」「組織化」などの概念を中心に時代批判を試みると同時に,同年大著『哲学』 Philosophieで,「世界」「実存」「包越者」「限界状況」「暗号解読」などの概念を用いて独自の哲学を展開した。

サルトル (1905-1980) (新潮社の著者紹介より転記)
 フランスの哲学者。海軍技術将校だった父を亡くし、母方の祖父のもとで育つ。高等師範学校で哲学を学び、生涯の伴侶となるボーヴォワールと出会う。小説『嘔吐』(1938)、哲学論文『存在と無』(1943)で注目され、戦後「レ・タン・モデルヌ(現代)」誌を創刊。実存主義哲学の旗手として文筆活動を行い、知識人の政治参加を説いた。1964年、ノーベル文学賞に指名されるが辞退。

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