Contents
ジョニー黒(ジョニーウォーカー・ブラックラベル)
世界的に有名なスコッチウイスキーのブランドの一つにジョニーウォーカーがある。世界中のあらゆる国々で流通し、年間2億本以上のボトルを出荷している。現在、ジョニー・ウォーカーはイギリスの酒造企業・ディアジオ社が抱えるブランドの一つである。
昭和50年代、ジョニ黒(ジョニーウォーカー・ブラックラベル)の国内販売価格は1万円ほどし、海外旅行でも行かない(免税店で購入しない)限りなかなか飲むことの出来ない高級ウイスキーであった。当時、サントリーのオールドが1,900円であり、ジョニ黒の免税価格が3,000円ほどであった。
当時海外で購入した場合、お酒は一人3本まで無税であり、ナポレオン(コニャック)やジョニ黒を3本購入して帰国する人が多かった。中には、お酒を飲まない家族や友人に3本購入して貰ったりする人も大勢いた時代である。
当時は庶民にはめったに飲むことの出来ない高級ウィスキーであり、サントリーのオールドなどと比べると遥かにまろやかで素晴らしい味のウィスキーであった。
酒税法改正で庶民にも購入しやすい廉価なウイスキーに
高嶺の花であったジョニ黒も、酒税法の度重なる改正を経て、今では2千円台で購入できるようになった。それ故今は高級ウィスキーと見られていない感がするものの、その香りや味は昔と変わらず素晴らしく、12年の樽熟成をした高品質のウィスキーであることには変わりはなく、水割りにして飲んでもまろやかで美味しいウィスキーである。
ジャパニーズ・ウィスキー の12年熟成物が同価格帯で購入できなくなった現在、廉価で長期熟成物を味わいたい人にはうってつけのウィスキーの一つである。
(補足1)
スコッチウィスキーは、スコッチ法の規制があり、熟成年数表記以下の原酒の混入が禁止されている。それ故12年と表記があるものは、12年以上樽熟成した原酒しかブレンドされていない。
また、スコッチウィスキーの場合、スコッチウィスキーとして販売するには、最低でも3年以上樽熟成させたものしかブレンドできないという法規制があり、ブレンドする原酒の熟成年数に規制の無いジャパニーズ・ウィスキーに比べ良心的な作りをしている。
(補足2)
同じ熟成年数の物がジャパニーズ・ウィスキーよりも廉価なのはジョニーウォーカーのウィスキーに限らずほとんどのスコッチウィスキーでも同じである。
ブレンディッド・ウィスキーではシーバース・リーガル12年やバランタイン12年なども2千円台で購入できるし、シングルモルト・ウィスキーではグレンフィディック12年やザ・グレンリベット12年などは三千円台で購入できる。
ブルーラベル
現在ジョニーウォーカーブランドのウイスキーは、ブラックラベルの他に、レッドラベル(ジョニ赤)、グリーンラベル、ゴールドラベル、ブルーラベルがある。
その中でブルーラベルは、ジョニーウォーカーブランドの最高峰と位置づけられ、究極の逸品としてウイスキー通には一度は飲んでみたい憧れの存在であると言われている。

ブルーラベルがジョニーウォーカーブランドの最高峰として登場したのは1992年のこと。熟成年数にとらわれず、本当の意味で最高のウイスキーをという想いから生まれたブルーラベルは、創業者ジョン・ウォーカーが残したブレンディング・レシピにもとづき、当時の味わいを再現すべく、一万樽に一樽といわれる希少な原酒のみを用い、年数の表示がないものの、50~60年以上樽熟成させた原酒も使われているとか言われている。
ブルーラベルを購入
このブルーラベルの存在を知り、何年も前から手に入れたいと思っていた。それ故、クルーズ旅行をしたときには、海外の免税店、クルーズ船内の免税店で探したりした。しかし、バランタインの30年ものを見かけることは何度もあったが、ジョニーウォーカーのブルーラベルに出会うことはなかった。
ところが、最近美味しいと評判のお蕎麦さんが隣接市にあることを聞いて食べに行ったところ、お蕎麦屋さんには珍しく高級ウイスキーが棚に並んでいた。余市の20年物や竹鶴の21年物から、山崎の12年物など最近では入手困難なウイスキーがずらりと並んでいるではないか。帰り際に女店員に聞くとボトルキープ出来るというので更に驚いた次第である。
それらのウイスキーを見て、しばらくおとなしく眠っていたウイスキー好きの心が目を覚まし、帰途2件の酒屋を覗いてみた。そこで奇しくもジョニーウォーカー・ブルーラベルに出会ったわけである。
ブルーラベルの価格は1万3000円と表記されていた。隣にはサントリー山崎が1万8000円と表記されていたが、こちらは入荷待ちとのことであった。山崎は何度も飲んでいたので、迷うことなくブルーラベルを購入した。
ブルーラベル購入後の評価
ボトル形状は、外観上は他のジョニーウォーカーブランドのウイスキーと同じ、角型の細長い派手さに欠ける形状であるが、ボトルに使われているガラスは青味がかった透明のガラスで上品かつ高級感にあふれたものである。そしてこの瓶に古酒が封入され、これまた上品な箱に収められている。瓶にはボトリングナンバーが付けられている。

その味わいは厚みとやわらかさを兼ね備えているが、長期熟成のお酒が持つ特有の枯れた優しい味を感ずることが出来る。スモーキーフレーバーもとても優しく感じるものである。その味の優しさゆえ、ブルーラベルはストレートで飲むのがお薦めであり、他のもので割ったりするとブルーラベルを味わうことは難しい。
古酒特有の枯れた味を持つ稀有なウィスキー
華やかな味と香りを好む人にとっては、10年物くらいのシングルカスクの方が良いかもしれない。ただ、ブルーラベルの枯れた味は今まで飲んだ高級ウイスキー、例えばジャパニーズ・シングルモルト・ウイスキーの20年物やバランタイン30年やロイヤルサルート21年などでも味わったことがなく、 50~60年以上樽熟成させた古酒が使われているゆえと思われる。
この枯れた感じの味は、以前日本酒の古酒(10年貯蔵物)を飲んだときに感じた味と共通したものがある。日本酒はもともと長期の樽熟成に適したお酒でなく、10年も樽貯蔵すれば枯れた感じになるのであろうし、麦の蒸留酒であるウィスキーもブドウの蒸留酒であるブランデーのように50年、100年の長期の樽貯蔵に適したものでなく、一説にはせいぜい30年までが樽貯蔵の限界と言われているが、それを超えて樽貯蔵するとこのように枯れた味(円熟味)が出てくるのかも知れない。
この古酒特有の枯れた味は人によって評価が分かれるところであろうが、ウィスキー好きな人は一度購入して味わってみる価値はあると思われる。今まで多くのウィスキーを味わってきたが、このような枯れた味を感じたのはこのブルーラベルがはじめてであった。
関連記事(ウイスキーの変遷):https://marisuke.com/archives/3164
関連記事(サントリー知多):https://marisuke.com/archives/3562
関連記事(ウイスキーのつまみ):https://marisuke.com/archives/3953
関連記事(グレンリベット25年):https://marisuke.com/archives/4562
関連記事(余市シングルカスク):https://marisuke.com/archives/2571
コメント
コメントはありません。