聖者の詞
衆愚不弁正飲食 徒従慣習害身体
求而美味巷彷徨 五欲旺盛苦三毒
これは食生活の大切さを説いた聖者の詞(ことば)である。
読み
衆愚(しゅうぐ)は正しい飲食を弁(わきま)えず
徒(いたずら)に慣習に従って身体を害す
美味を求めて巷(ちまた)を彷徨(ほうこう)し
五欲(ごよく)旺盛にして三毒(さんどく)に苦しむ
となりますが、その意味するところは以下に記すように、飲食を基に記されてはいるものの、飲食のみでなく、人間の生き方全般に通ずるものです。
意味
愚かな大衆はどのような飲食が正しい(身体に良い)ものであるかを見分けられず、ただ慣習に従った飲食を続け身体の健康を損なうものである。
美味しいもの(五欲を満たすもの)を求めて街中をあてもなく彷徨(さまよ)い
五欲を満たすことに血道を上げ、煩悩(ぼんのう)によって業(ごう)を作って苦しむ。
解説
一般大衆の多くは、どのような食生活が身体に良く、どのような食生活が身体を害するか(健康を損ねるか)を見分けることが出来ないため、親や先祖から受け継いだ旧来の習慣や、その時代の社会習慣などに従った食生活を続けている。そして、それが原因して健康を損なうことは世間でよく見受けられることです。
人生の意義や意味など、どのように生きたら良いかを深く考えたリもせず、ただ欲の欲するままの行いを続けることによって心の汚れや穢れを積み上げていき(仏教でいうところの業を作り)、自ら造った業によって苦しむこととなることを示しています。
言葉の解説
五欲(ごよく)
人間の持っている五つの欲。財欲(物欲)・食欲・色欲・睡眠欲・名誉欲の五つの欲をいいます。正しい判断をする妨げとなることが多く、業(ごう)を造る基になりやすい。
三毒(さんどく)
三業(さんごう)とも言い、人間の備えている三つの愚かな性質、貪・瞋・痴(とん・じん・ち)のこと。貪(とん)は貪(むさぼり)りの心、瞋(しん)は怒りの心、痴(ち)は愚かな心を言い、この三毒を根本にして煩悩によって無量(むりょう:計り知れない量)の業を造るとされています。
業(ごう)
キリスト教の罪と同一の概念。悪の下地となるもの。過去世の己の愚かな行いによって作り上げた果(果実)であって、人生の意義を知ったり悟りを得るのに邪魔となるもの。
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