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化学療法と造血幹細胞移植|悪性リンパ腫治療の一事例

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 血液のがんである悪性リンパ腫は化学療法や放射線治療による治癒(寛解)率が高いものの、再発率が高いという問題がある。その問題を解決するための上記がんの完治が期待できる方法として造血幹細胞移植がある。これらについて治療体験を記載した。

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化学療法

 化学療法は悪性リンパ腫など血液がん治療の基本となる治療である。臓器など固形がんにおいては外科的切除が主であり、あまり効果が期待できない化学療法は切除時に補助的に使われたり、切除後に再発予防に使われることが一般的である。しかし血液がんの一つである悪性リンパ腫においては化学療法の治癒効果は高く、リツキサンやCHOPなどの化学療法を用いることが普通である。

造血幹細胞移植

  血液がんの一種である悪性リンパ腫は、臓器がんに比べ抗がん剤治療や放射線治療が効きやすいが、逆に再発率も高いという問題がある。寛解後の再発率を下げるばかりでなく完治を目指し、抗がん剤治療と併せて行われるのが造血幹細胞移植と言われる治療である。造血幹細胞移植では、大量の化学療法や全身への放射線治療などからなる移植前処置のあとに、自分またはドナーから事前に採取した造血幹細胞を点滴で投与する。

造血幹細胞

「造血幹細胞」は、血液細胞である白血球、赤血球、血小板のおおもとになる細胞で、骨髄に含まれており、 特殊な薬剤を投与 して骨髄から血液中に流れ出た造血幹細胞を採取して行われる。

悪性リンパ腫治療の実例

 以下に記すのは悪性リンパ腫治療の実体験である。

ステージⅣ(余命4ヶ月)での化学療法

 初発時に放射線治療+化学療法( CHOPを 6クール)を行い寛解後3年目に再発し、化学療法( リツキサン+ CHOPを4クール)を行ったが2年後再発した後の治療である。2度目の再発時にセカンドオピニオンを受け、セカンドオピニオンを受けた病院へ転院した後の治療である。
 リンパ節を採取し生検を行った結果、悪性度が増大しており、ステージⅣ余命4ヶ月の診断がされた。そして、化学療法(CHASERを4クール)、その後造血幹細胞移植の予定で治療が開始された。

化学療法( CHASERを4クール)

 CHASERは使用される抗がん剤の頭文字から成ることばであったことは覚えているが、10年以上前のことであり、それぞれのアルファベットがどんな抗がん剤であったかは ( 頭の二文字CHはCHOPのCHと同じ抗がん剤で、Rはリツキサンだったと思うが、ASEが何だったかは ) 今は覚えていない。いずれにしろ、悪性度の高い悪性リンパ腫の治療であるため、かなりきつい抗がん剤であった。
 初発および1回目の再発時の治療では、各クール第2週目の初めの数日 (血液中の白血球数が最低値となった時) の白血球の数値は1,000程度であったが、CHASER治療では第2週目の初めの数日 ( 血液中の白血球数が 最低値となった時) の白血球の数値は0となった。これは抗生剤の無い菌が体に入ったら助からないということである。
 また、初発時と1回目の再発時の治療では治療中の輸血は必要なかったが、CHASER治療中には何回も輸血が必要になった。

(補足)白血球数

 血液中の白血球数は健康な成人男子で4,000から8,000で、治療などで2,000を下回ると感染症に罹患しやすく外泊許可が出ない病院が多い。

造血幹細胞の採取

 上記化学療法後、造血幹細胞の採取を2度にわたって行なった。幹細胞移植が行えるには、採取した血液中に幹細胞が必要量含まれていることが条件となる。私の場合、初発時の治療で腰部と胸椎部に放射線治療をしたため骨髄の造血機能が低下しており、幹細胞移植が出来るだけの造血幹細胞の採取は出来なかった。このことは、私の場合、必ずしもマイナスではなかった。

 幹細胞の採取時、採取してくれている看護師が幹細胞移植のことを説明してくれたが、移植前処置において、CHASER治療時の3倍ほどの抗がん剤を投与し骨髄中の腫瘍細胞をできるかぎり減少させる必要があるということであった。また、移植前処置において命を落とす危険性もあることも聴き、CHASER治療ですら何とか身体が持ちこたえていたという感覚があるだけに、その3倍も抗がん剤を投与する幹細胞移植は体力的に無理なのじゃないかと思ったりもしていた。

(補足)移植前処置

 移植前処置の目的は、腫瘍細胞を減少させ、患者自身の免疫細胞を抑制するためである。これによって、移植された造血幹細胞が患者の骨髄に根づき、正常な造血機能が回復することが期待でき、骨髄に根づいた造血幹細胞は、そこで血液細胞を造るようになる。移植前処置は大量の化学療法や全身への放射線治療などによって行われるということである。

CHASER( 4クール )治療の後遺症

 CHASER治療では各クールの第2週目の数日間、血液中の白血球数は0となった。これは菌に対する耐性が全く無いということである。実際には身体には様々な雑菌がいるため、第2週目には微熱が続いたものである。このとき抗生薬の無い菌が体に入ったら助からないわけである。各クールの第3週目で損傷した骨髄の回復をはかり次のクールに入るわけであるが、薬がきついため次第にダメージが残るようになり、第4クールを終えた頃には骨髄がかなり損傷を受けたようであった。

 退院するときに、主治医から「悪くなったらすぐ救急車で来るよう」にと言われたこと、退院後2年ほど数ヶ月毎に通院し、血液検査とCT検査をするとともに、ガンマグロブリンの点滴を続けたことから身体が化学療法によってかなりの損傷を受けたことは間違いのないことである。

 退院して1カ月後、最初に通院治療で病院に行ったとき、待合室で出会った血液内科の看護師に「意外と元気なようね」と言われ、もっと弱々しい状態で通院してくると思っていたようなことを言われた。看護師として相応しくない失礼な言い方をすると思いつつも、それほど厳しい状態にあったことを知ることもできた。

 CT検査を頻繁に(2ヶ月に1度)行うので被爆の心配がないか確認したところ、主治医から「CTの被爆でがんになるのは10年後のことであるが、あなたの場合再発を見逃すことのほうが命にかかわるからいたし方ない」と説明され、悪性度の高いがんであったことを改めて認識したわけである。

造血幹細胞移植できずとも再発なし

 再発率の高い悪性リンパ腫治療で造血幹細胞移植をせず(できず)して寛解に至り退院したわけであるが、危険な幹細胞移植をせず退院出来、その後十年以上再発することなく経過して今に至っている。 

幹細胞移植出来なくても悲観する必要はない

 危険を伴う幹細胞移植をしたからといって再発率が確実に0になるという保証はない。幹細胞移植せずに退院でき、その後十年以上にわたって再発せず過ごすことが出来たわけである。退院後2年ほどは血液状態を良くする点滴治療を受けたりしたが、その後経過観察に移り、数年前からは年2回の経過観察になって今に至っている。

 このように、造血幹細胞移植をせずとも十年以上再発することもなく過ごすことが出来たという実例から、造血幹細胞移植が出来ない場合でも何ら悲観するにはあたらない。身体を目一杯痛めつけずに退院できればそれに越したことはない。あとは、出来る範囲で再発率が低くなるような生活をすれば良いわけである。

 次項には退院後の生活で私自身が気をつけてきたことを記載した。あくまでも一つの事例であり、万人向けというわけではない。また、このような努力をしても再発する可能性はあるが、再発率を下げる効果はあるものと思われる。同じ病気治療で悩む人にとって少しでも参考になれば幸いである。

退院後気をつけていること

 初発時の退院後。一時は、霊芝胞子やフコイダンなど、がん治療に効果があるという高価な漢方薬や民間薬を購入して飲んだりしたが、高価で続けるのが困難なこと、飲んでいても2度にわたって再発したこと、国立がんセンターのHPに「漢方薬や民間薬でがんに効くという治療薬に効果が確認されたものは無く、効果が期待できるものとして、野菜・果物を摂取することが挙げられていた」ことから、2度目の再発後は高価な漢方薬や民間薬の摂取はしないようにした。そして、CHASER治療後退院してからは以下の点に心がけてきた。

食生活

 血液を弱アルカリ性に維持することが健康に良いことから、肉類の摂取を控え( 肉は上質で脂分の少ないものを少量摂る )、タンパク質なら豆製品(豆腐、高野豆腐、納豆、他)や魚介類を主体とし、果物・野菜(生で食べられる野菜は生野菜)をできるだけ毎食摂るように心がけた。
 肉類の多食はがん発生率を高め、豆製品を常食している人はがんになりにくいとも言われている。

 昆布やワカメなどに含まれているヨードは血液を浄化したり、血管内壁の傷を修復する働きがあるのに加え、酸性食物を中和する働きがあるのでできるだけ摂るように心がけた。ただし、昆布類は消化が良くないので、食べ方を工夫し少量を摂取するように心がけた。例えば柔らかい生わかめをお湯で茹でてポン酢などで食べるようにした。

 消化に負担がかかると胃腸を疲れさせ血液が酸性化しやすいことから、消化に良く栄養のあるものを適量摂る (食べすぎない) ように心がけた。

 調味料については、できるだけ塩分を摂らないよう、塩や醤油などの調味料を控え素材の味を楽しむようにし、甘味は砂糖よりも蜂蜜やメープルシロップ、甜菜糖などを使うようにした。
 

禁煙・節酒

 肺がんで同部屋に入院してきた人があったが、毎日苦しそうな呼吸をし、入院後1ヶ月で亡くなる(入院時主治医が余命一ヶ月と宣告)のを間近に見て、禁煙は誰もがすべき(本人の苦しさ、看護する者の悲しさ)ものであり、酒も飲まない方が良いが、飲む場合は適量に控えることに努めた。
 煙草はもともと吸わないので問題は無かったが、外食時や喫茶店で副流煙を吸わされるのが苦痛であった。お酒は退院後5年間は1滴のお酒も口にしなかった。

 腸内環境を良くすることが健康上大切であることから、(主治医の許可も貰って) 腸内フローラを良くする薬を常飲した。また、退院後2年目からはそれに加え牛蒡子を飲むようにし、現在に至っている。そして、がんに効くと言う霊芝胞子やフコイダンなど高価な民間薬は一切飲まないで過ごしている。

おわりに

 一時は死と隣り合わせのような状態になったにも拘らず、無事に退院でき、その後十数年にわたって再発することなく生活できたことは本当に有り難い限りである。危機一髪でセカンドオピニオンを受け名医に出会え転院し、上記名医のグループの医師に診てもらえたことは奇跡に近く、神仏の御導きに感謝するばかりである。そして、適切な治療をして下さった名医とそのグループの医師方々、入院中いろいろとお世話をして下さった看護師および補助の方々に心より感謝申し上げる次第である。

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