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エルニーニョとラニーニャは太平洋赤道域の海流と風の流れが影響

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エルニーニョとラニーニャは太平洋赤道域の海流と風の流れが影響

 日本の異常気象の要因であるエルニーニョ現象やラニーニャ現象の発生には赤道付近を流れる海流と低緯度帯の大気の流れが大きく関わっていることが知られている。低緯度帯の大気の流れと赤道付近の海流との関係、エルニーニョやラニーニャが発生する条件などについて簡単に記述した。

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地球大気の運動

 図1は地球の南北鉛直断面で地球の大気の運動を示したものである。上が北極、下が南極で、図の左側半分が太陽が北回帰線上にあるとき(北半球の夏)を、右側半分が太陽が南回帰線上にあるとき(北半球の冬)を示したものである。
 図中矢印で示した曲線は、子午線断面上における大気の移動を表したもので、夏期・冬期の何れにおいても、また南北半球の何れにおいても、低緯度から高緯度に向けてハドレー循環、フェレル循環、極循環の3つの循環が存在している。
 図中の実線の曲線は子午線面に垂直に吹く風の風速を表しており、影をつけた部分が東風を、影のない部分が西風を表している。 

図1.地球大気の循環(一般気象学より引用)

 図から低緯度では東風(偏東風=貿易風)が優位で、中緯度では偏西風が優位であることがわかる。北半球に関してみれば、夏期には偏西風の中心(ジェット気流)は北緯45°の高度12,000mあたりにあり、冬期は北緯30°の高度12,000mあたりにあることがわかる。ジェット気流は風速100m/sを超えることもある。

貿易風と偏西風を利用したコロンブスの航海

 コロンブスが新大陸を発見したとき、貿易風と偏西風を利用したことはよく知られているところである。図2はコロンブスの航海のルートを示したもので、新大陸へ向かうときはカナリー諸島まで南に下り、貿易風を利用して新大陸へと向かい、帰途は高緯度へと船を進め、偏西風を利用してポルトガルへと向かっている。

図2.コロンブスの航海(一般気象学より引用)

赤道海流と赤道反流

 図3は地球の主だった海流を示したものである。図中④は北赤道海流、⑥は南赤道海流である。⑤は赤道反流で、赤道に沿って南・北赤道海流の間をこれらと逆方向に流れる海流である。赤道反流は赤道海流によって大平洋の西側に運ばれた海水の堆積により太平洋の東西間でできる水面傾度によって東向きに流れ出すと考えられている。 赤道反流は 北緯3~10°付近を東流する流速1〜3ノットで厚さ100〜200m程度の海流である。
 上記の海流のうち⑥の南赤道海流はエルニーニョやラニーニャと関係の深い海流である。

図3.海流(気象庁HPより引用)

南赤道海流

 大気の運動で見たように、低緯度帯では偏東風(貿易風)が優位であり、海水上層の暖水が偏東風で西に運ばれ、南米ペルー近傍では深層の冷たい海水が海面へと運ばれる。この様子を示したのが図4である。

図4.東風による深層冷水の湧出 (気象庁HPより引用)

エルニーニョ現象

 低緯度帯の偏東風が弱く南赤道海流が弱くなり南米ペルー近傍で深層の冷たい海水の海面への湧出が弱まると、太平洋の西側に溜まっていた暖水域が海面傾度力により東へと広がり、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が平年より高くなり、その状態が1年ほど続く。これがエルニーニョ現象であり、図5はその様子の鉛直断面を示した模式図である。エルニーニョ発生時は赤道域で積乱雲の発生する海域が平常時よりも東に移動する。

図5.エルニーニョ現象 (気象庁HPより引用)

 図6は、エルニーニョ現象が発生したときの海面水温と平年の海面水温の偏差を示したものであり、図の下部に図中の色が示す偏差値を示している。図から、エルニーニョ現象が発生しているとき、南米大陸ペルー沖から日付変更線あたりまでの赤道域において、海水温が平年より高くなっていることがわかる。

図6.エルニーニョ発生時の海水温と平年値との偏差 (気象庁HPより引用)

ラニーニャ現象

 低緯度帯の偏東風が強く南赤道海流が強くなり南米ペルー近傍で深層の冷たい海水の海面への湧出が強まると、太平洋の西側に暖水域が押しやられ暖水が太平洋西側に厚い層で蓄積する。一方、太平洋の中部から東部では海水温が通常時よりも低くなる。これがラニーニャ現象であり、図5はその様子の鉛直断面を示した模式図である。ラニーニャ現象発生時は、インドネシア近海の海上で積乱雲の発生が活発になる。

図7.ラニーニャ現象 (気象庁HPより引用)

 図8はラニーニャ現象が発生したときの海面水温と平年の海面水温の偏差を示したものであり、図の下部に図中の色が示す偏差値を示している。図からラニーニャ現象が発生しているとき、南米大陸ペルー沖からインドネシア近海までの赤道域において、海水温が平年より低くなっていることがわかる。

図8.ラニーニャ発生時の海水温と平年値との偏差 (気象庁HPより引用)

エルニーニョ現象の日本への影響

 エルニーニョ現象が発生している年は梅雨明けが平年並みまたは遅れる傾向があり、6月~8月の平均気温が平年並みまたは低くなる傾向がある。台風はその前年や翌年に比べ、発生数が少なくなる傾向がみられ、12月~2月の平均気温が平年並みまたは高く暖冬となる傾向がある。

ラニーニャ現象日本への影響

  ラニーニャ現象が発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が活発となり、日本付近では、夏季は太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、気温が高くなる傾向がある。冬季は西高東低の気圧配置が強まり、気温が低くなり大雪が降りやすくなる傾向がある。

参考資料

①気象庁HP

②小倉義光著   一般気象学       東京大学出版会

③高塚てつ彦著  気象・天気の知識    西東社

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